忍者ブログ
ヲ印茉奈のの/だ/め語り
[12]  [11]  [10]  [9]  [8]  [7]  [6]  [5]  [4]  [3]  [2
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

できれば毎日でも更新したいところですが、ちょっと無理です。
本当は昨日というか一昨日更新するつもりだったですが、台風に興奮しているうちに機を逸しました。
ほんで昨日は呑んだくれて帰ってきました。
ビールはうまい。

たぶん、基本は土曜日と水曜日の更新、という形になるかな~~。


さて、「君のほしいもの」「彼女にのぞむもの」の続き。
今度こそのだめverです。

っていうか・・・いつまでのだめ誕を引きずるつもりだわたしは。

あなたのくれたもの
 
 
 
 
 
from:shinichi
sub:
-------------
kyou
sottiniiku.
 
 
うれしいメール。
 
 
 
 
 
 
「先輩の呪文料理~~」
「・・・今日は時間なかったしたいしたもんじゃないぞ」
 
 
おいしいご飯。
 
 
 
 
 
 
 
「じゅうで~~ん」
「しょうがねぇなぁ」
 
 
優しい時間。
 
 
 
 
 
 
 
「・・・すきだよ」
「だいすきだ」
 
 
愛の、ことば。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
小さい頃、きれいなお菓子の箱を宝物入れにしていた。
ヨーコがいくつもそんな箱を持っていてそれらはほとんど裁縫道具が入っていた。
掃除が苦手なヨーコがその箱の中だけは整然と整えていて、一番気に入った箱をくれとねだった。それは一番綺麗でかわいくてのだめ好みだったからレースやリボンが綺麗に入っていた箱だった。よそ行き用のワンピースを作るときにそこからどれがいいかのだめに選ばせてくれたものだ。
それをほしいとのだめはわがままを言った。
 
「ねぇヨーコ!このはこ、めぐみのたからものいれにするけんちょーだい?」
「えぇ?じゃあこのリボンやらはどげんすっと?」
「ほかんとにいれたらよかよ!まだかわいかとあるやんね?」
「う~ん・・・恵、大事にするね?」
「うん!」
「ならよかよ。その前にこのリボンば入れる可愛か箱ば探してこんね」
「むきゃー!!アリガトヨーコ!!」
 
そうやって移し替えられたリボン達はその後ものだめのワンピースを飾り、もらった箱の中にはのだめの宝物が収められ大事に大事にしまわれた。母親譲りの片付けの出来なさだったけれどその箱だけはちゃんと置き場所を決めてそこだけはとても綺麗にしていたものだ。
中身はといえば、お菓子のおまけだとか友達と競って集めたビー球の特にきれいで大きなものだとか、せみの抜け殻だとかおとなから見ればガラクタだといわれてしまうものだったけれど。
 
今あの箱があったなら、きっと今日もらった素敵なものを大事に大事にしまい込むのに。
むき出しの腕を天に伸ばしてその「素敵なもの」を握りしめてみる。壊れないようにそっとやさしく胸に抱く。
うふふ、と声が漏れるのはどうしても溢れてしまうからで。
 
あのたからばこはどこにやったのだったろう。
 
 
 
「・・・のだめ?」
突然腰にゆるく回されていた手に力が入った。
ひいやりとした空気にさらされていた腕を緩くさする手のひらが心地いい。
「すみません。起こしちゃいました?」
「いや・・・眠れない?」
たぶんその手は無意識で、のだめは嬉しくなってその胸に頬を寄せた。ほんのりと香る汗の匂いが眠る前までしていたことを思い出させる。
「いいえ・・・ちょっと噛み締めてました」
「何?」
「今日、先輩からいっぱいもらった素敵なものを」
告げると、ちいさなため息が返ってきた。眠る前からずっと千秋はそんな反応をする。
「何もやってないだろ・・・」
「たくさん、もらいましたよ?」
のだめ、しあわせものです。本心から言ったことなのに、千秋は更に腕の力を強めてきた。
 
「なぁ。明日休みだし・・・買い物行こう。プレゼント、買ってやるから」
そうして少しの沈黙の後に千秋は言う。たぶんずっと考えていたんだろう。眠気が残っているのかいつもより低く掠れた声がゆっくりと言葉を紡ぐ。
何も、いらないのに。
「・・・俺がやりたいだけ」
「ふおぉ、さすが夫・・・以心伝心?」
「夫でなくてもわかるよそれくらい・・・」
ため息が前髪を揺らし、ゆっくりと腕を擦っていた手のひらはするりと円く肩を撫で、首筋で指先が遊ぶ。
指の背でくすぐられてのだめは小さく笑った。
セクシャルな含みのない接触はくすぐったくて安心する。
ほとんど無意識に動く手ものだめを必要だと言っているようで嬉しい。
 
「じゃあ、なっと・・・」
「駄目。食べ物以外」
いつかもねだった好物は即座に却下され髪を弄っていた手にひと房つんと引っ張られる。
上目で見るとのだめの頭を抱えるようにしてうっとりと目を閉じている顔が見えた。このきれいな顔をこんな間近で見ることができるのも、のだめの特権で宝物だ。
 
「あ、たからばこがいいです。たからばこ」
その連想からさっきまで考えていたことを思い出した。
大切なものを入れておく、お気に入りのきれいでかわいい箱。きらきらで特別な。
「・・・宝箱?海賊とかの?」
「違いますよ、そんなんじゃなくて・・・」
どうにものだめの思うものより大きくて無骨なものを思い浮かべたらしい千秋によじ登るように顔を上げた。
眠そうだった千秋も目を開いて至近距離で見返してくるから、その深い瞳の中にのだめの顔が見える。
 
「真一くん、こどもの頃やりませんでした?お菓子の箱とかにたからもの入れとくんデス。のだめは、ヨーコにもらったきれいな箱にビー玉とかキャラメルのおまけとか入れてました」
相手の瞳の中の自分を見ながら言うと、相手もこちらの目を覗き込んでくるのがわかる。
彼も同じように相手の目の中の自分を見ながら記憶を探ったのだろう大きくひとつ瞬きをした。
「・・・ああ。俺はそれこそ宝箱みたいな大きな箱に使わなくなった子供用ヴァイオリンとかぼろぼろになって買い換えた楽譜とかヴィエラ先生にもらった折れた指揮棒とか溜め込んでた・・・」
語尾が小さくなって焦点がふとぶれたのは、あれはどこにやっただろうかとのだめと同じ事を考えたからだろうか。
それともそれぞれに詰まっている想い出に意識が向いたのだろうか。
いずれにせよそれは一瞬で、千秋の視線はすぐにのだめに戻る。
 
「で、宝箱がほしいって?」
「そうです。綺麗な・・・お菓子の箱とかでいいです」
「いい大人が宝箱にお菓子の箱って・・・何入れるつもり?」
「今日真一くんからもらった素敵なものたくさん、デス」
「は?」
「あと、ハートのペンダントとか。あ、ターニャと黒木くんからもらったコサージュとかもいいですかね」
のだめにとってのたからものなら、大事な人からもらったものたち。
ぽかんとした顔が呆れたような笑みを形作ったのをのだめは見ることが出来なかった。
その目の中に笑いの影を見ただけで。
 
「じゃあ、ジュエリーボックス見に行こう」
そう言って千秋はのだめの唇に音を立ててくちづけを落とした。間近にあった頭とそれから腰を引き寄せて胸の中に閉じ込める。
先輩、というのだめの抗議は体で封じた。
 
「・・・ずっと使えるようなやつな」
「・・・はい」
 
それがこれからもずっと宝物が増え続けていく証なんだとわかったから、のだめは笑ってその背中に腕を回した。
ぎゅうぎゅうと力を入れると痛いと言ってまた髪を引っ張られたけれど気にしない。
 
「さっさと寝ちまえ」
照れたのかぶっきらぼうな千秋の声がして、のだめは素直にまぶたを閉じた。
おやすみなさい、と言えたかもわからぬうちに眠りの世界が優しく引きこむ。
意識が途切れる一瞬で、今度あの箱をどうしたか同じようにたからばこを持っていた故郷の弟に聞いてみようかと思いながら。
 
 
 
 
 
 
あなたのくれたもの
 
 
たくさん、しあわせ
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
end
 
 
 
 
 
 
ちっとも続き臭くない続きになってしまいました。
あとひとつ、まだこのネタで書きたいものがあります。
いましばらくおつきあい願います。

方言は、筑後~大牟田弁ですねわたしは。
厳密に言うと大川地域と若干異なるとこもあるかもですが、だいたいこんなもんです。
訳、いりますかね?

拍手

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カウンター
リンク
プロフィール
HN:
茉奈
性別:
非公開
趣味:
読書・映画・音楽・お酒・料理
自己紹介:
ここはの/だ/め/カ/ン/タ/ー/ビ/レ、二次創作サイトです。
ちあのだメイン。
原作、出版社等など無関係です。

傾向と対策:のだめを偏愛・のだめ溺愛の千秋先輩を偏愛。

ブログタイトルの由来:茉奈の実家はオアシス大川から車で三十分なのだ。
あの道を、私は知っている。


http://elehayym.cc/30minbana.gif
アクセス解析
忍者ブログ [PR]