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ヲ印茉奈のの/だ/め語り
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あああああ、放置しすぎ本当にごめんなさい!!

言い訳ですが、いまほんっっっとうに忙しいんですよね・・・。
時間的にもそうなんですが、もう精神的に余裕がなさすぎて・・・・どうしましょう。

ちまちまと話を書いてはいるのですが、上げられるレベルにできない。
もう少し余裕をもちたいところなんですけれど・・・。
中間管理職って本当に間に挟まれて消耗するのですね・・・。
またヘルペスなったし・・・半年間隔。やめてくれ。
今回本気でニキビだと思ってて、でもわたしニキビできない人だからああ疲れてるんだなぁと思ってたけど、ニキビにしては毎日増えるし首にもできるし???はっ!ってなった。
気付いてから前回の薬塗ったら改善してるし。
疲れてるのはそのとおりだけどさ・・・・。

というわけで。超今さら去年のハロウィンに参加させていただいた「NODAME de CARNIVAL」に上げたものをば。
これは、以前他ジャンルでもハロウィン用に書いたものをちあのだ仕様にしたものです。

とりあえずこれでなんとかごまかし、
そして連載は正直今は難しいのでリハビリも兼ねて短いものを少しづつでも書いて行きたいと思います。
余裕が無い間も、癒しのためにのだめを読み返してはいたのでものすごく書きたいは書きたいんですよね。

それではまた。

ツキ×契約


満月の夜、街は賑やかになる。
 
 
 
 
 
 
 
「・・・・くそ、あのジジィめ・・・」
遙か遠くに見える街の灯りに向かってひとりの青年が一路家路を急いでいた。
まだ宵の口だというのにあたりに人気は無い。
青年の掲げたランタンだけが唯一の光源だが、月は雲に隠れ全くの闇夜なのでその灯りが余計に廻りの闇を深くする。
 
「シャレにもならないだろうが!」
いやまだ間に合う。
毒づいたかと思えば打ち消し、そういえば夜道を歩くだけにしてはいささか剣呑に過ぎる緊張を全身に漲らせている。
瞳は前方に据えたままだが、今背後空近づくモノがあればすぐ反応するだろう。
 
「げっ!」
不意に一陣の風が走り抜け、同時に闇を払っていった。
咄嗟に仰向いた青年は凄まじい速さで流れてゆく厚い雲と姿を現した月を見た。
瞬間、空気がざわめく。
青年の姿が月光に照らされる。
決着が着いた―――――!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
人っ子ひとりいなかった街道は今や大勢の『モノ』が押し寄せている。
正確には、ある一点をを目指して大挙してやってくる。
その一点とは。
 
 
「くっそ!なんでこんなに多いんだ今日は!」
青年は纏わり付く人外の輩を端から吹っ飛ばしてゆく。
ワーウルフ、ニンフにゴブリン、小人や小鬼。
「ハロウィンにはまだ早いだろうが!それとも予行演習のつもりか!?」
意志を持った木々に歳月を経て力を得た動物、そしてその人型。
少しでも闇に属する部分があるモノが全て集まってきているかのようだ。
「あーめんどくせぇ!雑魚は散れっ!!」
怒号と共に青年の廻りに群がるモノ達が触れもせずに吹っ飛ぶ。
闇のモノ達は一瞬怯んだようだがそれでも青年に向かってくるのを止めようとしない。
 
 
 
「そうね。あなた達もういいわ」
迎え撃つ体制を整えていた青年の耳になんだかくねった声が届いた。
それとは別に小さな笑い声も。その笑い声に背筋が震えるような熱量を感じた気さえする。
と、同時に青年を取り囲んでいたモノが音もなく吹き飛び眼の前が開けた。
 
「全く、もう少しは粘るかと思ったのにホントに雑魚ねェ」
開けた視界の先に見えるベルベットの闇に身を包んだ姿に目を見張った。場違いとしか思えない女。ふたりの男を従えている。
先ほどからの声は後ろの男のうちもじゃもじゃ頭の方のようだが、その場の主導権はその女にあるのだということは即座に理解できた。
くすくすと笑う様はただの少女といってもいいほどだが作り物めいた美貌、白磁を思わせる血の気の無い肌が人ではないものだと主張している。
しかもその足は地に着いていない。
だが何よりもその目。
血が滴るような、紅。
 
 
「ヴァンパイア――――!」
 
 
認識した途端、青年をこれまでにない緊張が包んだ。
こんな力がすぐ側にいて気付かなかったとは不覚―――
「ああ、貴方が未熟というわけじゃないから安心なさい」
もじゃもじゃは言外に女の力が桁外れなのだと匂わす。
そう。段違いだ。
その力によって感覚が鈍るほど!
 
だが。
なぜ今こんな登場をするのだろうか。
通常狩りはまず妖同士でライバルを退けるものだ。つまり一番強いものが獲物を狩る権利を得る。
この力なら間違いなくその権利を勝ち取れるはすだ。
しかもこれだけの力なら自分で出張ることもせず、眷属に獲物を狩らせて根城に持ち帰らせる。少なくとも今まで(師の後ろで)見てきた大物はそうだったし、今の自分には後ろのふたりを纏めて相手にするだけでもギリギリだと思う。・・・・いやひとりずつでも。
 
しかし・・・・
 
「解せないと言いたげな顔ね?いいわ、説明してさしあげましょう」
狩りの前の座興のつもりだろうか。もじゃもじゃは滔々と語り後のふたりも動く気配は無い。
けれど続けようとした言葉はすっと上げられた女の手に止められる。
もじゃもじゃはすっと視線を落として女に従う。
 
「だって簡単に手に入っても面白くないじゃないデスか」
今までただ笑って妖艶とも言える空気を醸し出していた女が、とても力のあるヴァンパイアだとは思えない程にっこり笑って妙なアクセントで言った。
途端にあたりに満ちていた濃密な空気は霧散し、一気に緊張感が緩む。
 
「・・・・ちょっとあんた!もう少し緊張感を持続できないわけ?あんたがやりたいって言うからやってやったのに」
「そりゃ無理ってもんだろ」
一瞬呆然とした青年の耳に呆れたような声が届いた。
女の後ろに控えたふたりのうちもじゃもじゃ頭が大きくため息を吐き、もうひとりの金髪の方がにやにやと笑う。
軽いやり取りながらさりげなく重心を落としていつでも動けるように構えているのはいつでも青年に向かってくる気があるということだ。
ふざけた口調とは裏腹に臨戦態勢を整えている。
「だぁって、全然役に立たなかったじゃないデスか・・・・真澄ちゃんの言ったとおりです。無駄骨」
ぷぅと頬を膨らませたヴァンパイアの女だけが緊張感のかけらも無くそこに佇んで・・・否、浮かんでいる。
だが無防備なはずなのにどこにも付け入る隙も逃げ出す隙も無くて青年はやはり全身を緊張させた。
「じゃあ、どうする?のだめ」
金髪がおもしろそうに言う。
明らかに主人であろう女に対する口調にしてはもじゃもじゃも金髪も随分とぞんざいな口をきいているなとどうでもいいような所が気になった。
 
「まず小手調べデス。のだめが行きます!」
女はふわりと更に浮かび上がったかと思うと、次の瞬間青年の目の前に居た。
空間が縮まったように。
 
 
「ちょ、まっ・・・・・」
「待ちなさいっ!」
いきなり飛び出した主人に眷属のふたりが焦ったように手を伸ばし、金髪はその手で顔を覆いもじゃもじゃは腰に手を当てて大きくため息を吐いている。
自覚が足りない、などとぶつぶつ零しているが青年にしてみればそれどころでは無い。
勝てる気がしない、どころか髪一筋ほども触れられる気もしない。
事実そうだろう。
力が違いすぎる、何より経験値が絶対的に足りない。
生きてきた年月が足りない。
この女の前では自分は赤子どころではない筈だ。
 
その証拠に軽く手を翳されただけで体全体を衝撃を感じ、後ろにふっとんだ。なにが起きたか理解も出来ない間に。
 
「・・・っくそ!」
空中でなんとか体制を立て直して両手足を使って止まる。
即座に顔を上げるが見えるのはふたりの青年―――――――
「遅い」
耳元で鮮やかな声。
 
―――――――畜生!!
 
体術は得意ではなかったけれど、咄嗟に右足を支点に屈んだまま体を捻り肘を繰り出す。
当然のように避けられるが自分も即座に飛びすさり、距離を取る。
伸ばされていた手から逃れられず首筋に爪あとが残るが構っていられない。
修行中の身とはいえ祓い師の端くれとして一撃も加えぬまま死ぬわけには・・・・いや『捕まる』わけにいかない。だからと言って逃げられる気もしない。
せめて捕られるものがなくなるまで力を使い果たさねば。
 
青年は開けていた上着の内側に手を入れ背中側から術を込めた鞭を引き抜き逆の手では腰に下げた袋からガラス玉の様なものを取り出し握りつぶすようにして割る。溢れた液体を鞭に振り掛け一振りするとしなるように空気を裂く。
勿体ぶっている暇はない。
急いだって相手の疾さには敵わないなら出来る限りで動くしかない。
更に銀の弾が込められた銃も引き出した。 
出し惜しみも無しだった。
 
「・・・・ふおお、珍しい組み合わせデスね。鞭を使いこなすのはかなり難しいハズ・・・・ふぅん、込められた術もかなり緻密で正確・・・・粘着さんなんですか?」
動かずにそう評する女に余裕を感じて青年は舌打ちをして飛び出した。
逃げは打たない。
老練な相手に真っ向から向かう以外の手はないのだから。
「余計なお世話だ!」
繰り出した鞭は軽く避けられる。
当たるとは思っていないが着地点を予想して銃も打ち込み、闇雲と思えるほど鞭を振るう。
「しかも折角聖水で清めたんですし。術もかなりのものだし当たればさすがののだめもちょっと痛いデスね~」
紙一重で避けながら女は言う。
当たれば。確かに。僅かでも!
 
――――――当ててやる。
空振った勢いのまま体ごと反転させて屈む。足払いを描けるが軽く浮かんで避けられた。だが空中で一瞬とは言え動きが止まる。
「よし!」
青年はそのまま銃を連射した。
振るった鞭は地面を抉るとかなりの高さに粉塵が舞い上がった・
小石や土の塊もあり、当たるとそれなりのダメージだろう。
「!」
女が咄嗟に顔を庇ったのを見逃さず更に清めた鞭の術を引き出すスペルを唱えながら鞭を水平に薙ぐと僅かな手応え。
掠ったか!?
だが次の瞬間女の力が跳ね上がるのを感じて咄嗟に後ろに飛んだ。
ドン!と腹に響く音がしたかと思うと青年がいたあたりの地面が抉られている。
思わず息を飲むのと首元に冷たい感触が当たるのは同時だった。
「動かないで」
低い声に目線だけ落とすと真澄と呼ばれていた青年が鈍く光るサーベルを突きつけていた。
忘れていたわけではないがとても手が回る状況ではなかった。
もうひとり。金髪の男も指をぽきぽきとならして何時でも動ける状態だ。
ふたり――二匹の眷族の瞳も紅く光り怒りが見える。
主人を傷付けたのがお気に召さないらしい。
さあどうするかと、青年は自分より少し小さい相手を睨み付ける。
ひとりずつなんとかするのが確実だろう。というかまとめてなんて相手に出来ない。
 
「どいて、真澄ちゃん」
水を差したのは主人である女。凄味が増し、目を見るだけで体が竦む。
「・・・・もう!」
もじゃもじゃは逆らう気は無いのか素直にサーベルを引き、たが今度は主人へと鋭い視線を投げつけた。
「ちょっとあんた。あんたがやられる分だけわたし達の力も殺がれるのよ。傷のひとつも受けないで頂戴!」
そんなもじゃもじゃの言葉に女がくすくすと笑う。凄まじいほどの力はまた鳴りを潜めた。
そして鞭が掠ったと思われる肩口の赤い筋を見下ろす。
「心配かけてごめんなさい?うんちょっと吃驚しました。思わず殺しちゃうところでしたよ。もったいない」
まだまだですねのだめも。などと肩を竦めながら傷口を撫でるとすぐに滑らかな皮膚が現れた。
力の差はわかっていたがとんでも無いことをさらっと言わないで欲しいと青年は思う。
もったいない・・・・とは、自分の力はやはり補食の対象になるのか。
 
「ちょっとお兄さん。名前は?」
「は?」
ますます捕まるわけにはいかないと眉間に皺を寄せた青年に女は何事もなかったかのように問いかけた。
まさかそう来るとは思わず青年は間の抜けた返事をする。
「名前。傷を付けられるなんて久しぶりだから覚えといてあげマス」
「・・・・千秋真一」
「そう。千秋真一クンですね」
女はじっくりと青年―真一の顔を見詰め、おもむろににっこりと笑った。
まるで邪気の無い幼い少女のような笑み。
「わたしはのだめデス。それから、そっちのもじゃもじゃが真澄ちゃんで、金髪の方が峰くんです。よろしくお願いしますね?」
今まで命も奪う勢いで追い詰めていたとは思えない内容に真一は反応が出来ない。
真澄と峰、という眷属ふたりは諦めたような色をその瞳に浮かべている。
「ところで。真一クン、のだめのものになりまセンか?」
「は?」
ちょっとそこまで付き合わない?みたいな軽いノリで言う女に真一は呆けた。
眷族の二匹も同様で沈黙が下りる。
 
「ちょっ、のだめ待って」
その沈黙を破ったのは金髪の眷属―峰だった。
今までは面白そうに成り行きを見ていたその顔を若干引きつらせている。
「・・・・それはどういう意味で?」
 
 
「花嫁で」
・・・・・・・・・は な よ め ?
花嫁:結婚したばかりの女性。また、結婚式でこれから嫁となる女性。新婦。
「・・・アレはどう見ても男性ですが?」
「吸血鬼の花嫁、の意味くらい知ってマスよね?」
 
吸血鬼の花嫁:吸血鬼の血を与えられ、共に永遠に在る為の存在。唯一の食事相手・・・・そして、主の意のままに動く人形。
 
全身の毛が逆立った。
 
 
「・・・なるほど。これだけの力を持っているなら今食べちゃうよりもそのほうが良いかも。・・・・よく見たらかなりイイ男だし」
真澄の笑いに、冗談じゃない、と思う。最後の一言の意味は考えたくも無い。
それは、「だっていつでも食べられるから」と裏に張りついているからだし、自分が意のままに操られる!!
それは、恐怖でしか無い。
自分が自分の意志で動けないなんて全く気に食わないのだ。
真一は、そういう人間であって、だから祓い師なぞをしているのであって(まだ卵だが)、そこが見込みがあるといわれた所以であって・・・・・
 
だから馬鹿みたいに体中を緊張させて、逃げの体勢を整えた。
戦って勝てる相手ではない。がむしゃらに挑みかかるのは馬鹿だとわかっている。
つまらないプライドにしがみついている場合ではないのだ。
自分が自分で無くなるかもしれないときにそんなことは言っていられないのだ。
 
 
妖である三人が、真一に対峙する。
勝てる気なんかないけど、逃げられる気もしない。
 
 
 
どうする!!どうするどうするどうする!!??
 
 
 
 
 
 
 
「未熟モノー」
何故だか唐突にすぐ側で、聞き慣れた声がして、そして真一の視界が変わった。
ひっくり返って遠くなった。
 
「むきゃー!!ミルヒー!邪魔しないでって言ったのに嘘つきじいちゃん!!」
遠くなったのだめの声に、何故か地面を見ていた顔を捩ると上の方に見慣れた顔。
「・・・・・ジジィ」
真一を見下ろして笑う師匠の顔を見つけて、一気にわからなくなった。
大体今日は満月で、妖の狩りの日で、どれだけ熟練した祓い師でも街ごと結界を張って外には出ないというのに、わざとの様に修行を長引かせ、すでに月が出ているというのに、真一をひとりで帰宅させたのだ。
作為を感じたりしたわけではないが、一刻も早くと気が急いていたところにこいつらが現れて・・・・
「何なんだ一体・・・」
考えることを放棄した。
 
「ノーン!のだめちゃんに年寄り扱いされるのは悲しいデスねぇ。わたしの数十倍生きてるデショ?うーん、だけど相変わらず可愛くってキュートデスね!でもちょっと痛い目を見せて下さいとお願いしただけで食べちゃってくださいとは言ってないデース」
地べたに這いつくばった真一の頭をくしゃくしゃと撫でて、師匠・・・シュトレーゼマンはのだめに話しかけた。
シュトレーゼマンは名の知れた凄腕の祓い師で、ミルヒーというのは好んで使う偽名で、本当は別の師に着こうとしていた真一の才能を見抜いて半ば強引に自分の弟子にして、これでもかと言うくらいの地獄の特訓を・・・・・・
「なんだとジジィ!俺を売ったのか!?」
飛び起きて問いただすと目の前に星が散った。
「い・・・・っ!!」
数瞬遅れて頭に痛みが走っていつも持っている杖が振り下ろされたのだと分かった。
「人聞きの悪いこと言わないでクダサーイ。修行デスよ修行」
いくらなんでも洒落にならないと訴えたところで無駄だし、痛みで口が利けない。
 
とんでもない凄腕で、とんでもないやり方をする。
真一の師匠。
 
「見た目はそっちがお年寄りじゃないデスかー!それにのだめ何十倍なんて生きてないデス。まだ250歳ですよ!」
腰に手を当てた顔は、今までより更に幼い。(・・・・・ていうか250歳なのか)
今までのは嘘だったのだと全身で語っていた。
眷属二人は怪訝な顔をして、苦虫を噛み潰したような顔をして、多分自分と同じだと真一は思った。
 
「おや、のだめちゃん自分の眷属にも話してなかったんデスカ?」
やれやれ、と言う割りに楽しそうなシュトレーゼマンの顔を真一は見上げた。
状況が変わって安心、と悔しいがこの師匠が来たからにはまったく安心なのだ。
 
「敵を欺くにはまず味方から、デスよ。ああ、おなか空きました・・・・」
「だからちょっとなら血を吸っても良いと言ってあったデショ?」
「・・・・・・・・・おいこらジジィ」
シュトレーゼマンのさりげない台詞に真一の目は据わる。
だから何が出来るわけでもないがそんな自分の知らないところで餌にするような真似はやめてほしい。
確かに死ぬまで血を吸われなければちょっと貧血になるだけのことだし、言っても無駄だとわかってはいるのだけれど。
 
「千秋?わたし達祓い師は、綺麗事だけではやっていけまセーン」
おもむろに語りだした師匠を真一は醒めた目で眺めた。
綺麗事?自分の理想がそうだと今言われたということなのだろうか。
「こんな風に妖と取引をして情報を引き出したり、時には仕事を依頼することもありマス」
それは型破りのシュトレーゼマンだけではないのだろうか。
どちらにしても真一の師匠は祓い師の常識など顧みもせず、より好き勝手をしていると思う。
思うが、今までも妖に力を借りているのは知らなかった。
だが、逆にこちらからも情報を提供したり、人だけが知る薬などを分けたりもするのだという。
「そういうわけで、とりあえずそろそろ千秋にもひとりで仕事を任せてみようかと思っているところだったのデース。のだめちゃんはわたしの知ってい中でダントツの力を持っているし、話ができます。そして一番可愛くてキュートデス!だから千秋に実戦と満月の実態を教えてやってほしいとお願いしたんデース」
報酬は多分俺の血を少々・・・・・・
悟って泣きたくなった。
乱暴にも程がある。
もし、腹を空かせたヴァンパイアが加減を忘れたらどうしてくれる。
 
「でもわざわざ食事を絶って力を落としてまで引き受けてくれるとは思ってませんデシタ。トレビアーンなバストの大きさが変わらなか
 
ったのは幸いデス!」
シュトレーゼマンの言葉にのだめはぎゃぼ!と奇声を発して胸を隠した。
そしてちょっと肩を竦めた。
「のだめ達、ミルヒーにはお世話になってマスし、今回はしょうがないデスね。ちょっと他の獲物探しに行きマスね」
ほんとにお腹ペコペコデス。
ふわりと浮かびながらそう笑った。やたら綺麗で無垢な笑顔。顔を顰めた真澄と峰もそれに倣う。
ああ、畏怖の対象でなければやたらと魅力的な笑顔なんだな、と真一は思う。
 
 
「あ、でもミルヒー!のだめ、ほんとに真一クンのこと気にったので、花嫁の話は本気デス!」
峰に手を取られながら無邪気に笑う声が降ってくる。
みるみるうちに遠ざかってゆく姿はいっそ清々しいほど潔い。
「おやおや・・・・・どうします?千秋」
楽しそうに笑って振り向いた師匠と、遠ざかる黒い姿を交互に眺め千秋は空に向かった。
 
 
 
 
「やれるもんならやってみろ!そう簡単に取られるか!!」
 
 
 
 
 
オワリ



これはその後も書きたい話のひとつです。

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茉奈
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非公開
趣味:
読書・映画・音楽・お酒・料理
自己紹介:
ここはの/だ/め/カ/ン/タ/ー/ビ/レ、二次創作サイトです。
ちあのだメイン。
原作、出版社等など無関係です。

傾向と対策:のだめを偏愛・のだめ溺愛の千秋先輩を偏愛。

ブログタイトルの由来:茉奈の実家はオアシス大川から車で三十分なのだ。
あの道を、私は知っている。


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