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ヲ印茉奈のの/だ/め語り
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えーと、あけましておめでとうございます。
年開けてから更新してないことに驚いた。
いや・・・年明けようが何しようがサービス業なので全く通常通りに動いていたもので・・・っていいわけですが。
さすがに元日はお休みをいただき、一人わびしくお雑煮をつついてました。
茉奈の好きな食べ物第一位! ばーちゃんのお雑煮・・・・しくしく。今年は食べれなかった・・・
自分のお雑煮だっておいしいんですけどね。
同じに作ってるのになぜでしょう。
私のより母のがオイシイ。母のより祖母のがオイシイ。
なにこれ。
特に煮物!!

話がずれてます。

えーと、連載の方はあまりにも見切り発車過ぎてどこから開始するか決められない(笑)
でもなんとか書き出せているので。
本日は突発的に思いついて一日でがーっと書き上げたぼろぼろのおはなしですが。

では今年も茉奈をよろしくお願いいたします。

僕の好きな人
 
 
 
 
のだめの結婚の知らせを受けたのは、もうすぐコンセルヴァトワールの指揮科を卒業するという時期だった。
数年前に僕と一緒にピアノ科を卒業したのだめはそのままパリを拠点にプロとしての演奏活動を開始し、僕は指揮科に転科してまだ学生として過ごしていた。
その間にのだめはチアキと婚約し、今回忙しいふたりのスケジュールを縫って日本での結婚式の後にふたりのホームでもあるパリでお披露目パーティをするのだという。
その知らせを僕はちょうどターニャやヤス、フランクと会った時に聞かされた。
改めて招待状は届くと思うけど、と前置きされて伝えられたことに僕はわかりやすくショックを受けた。
三人は直接電話がかかってきたという。
ヤスとターニャは日本の結婚式にも出るために一緒に日本へ飛ぶと言った。ヤスは日本からの友人だしターニャはそのパートナーでフランクも一緒のアパルトマンで過ごした友人なのだから、彼らは彼女らの一番の友人と言える相手なのだから直接連絡があるのは当たり前だけれど。
僕はのだめの中ではその程度。
そんな拗ねた気持ちが胸の中に湧くのを僕は止めることができなかった。
 
「・・・何だよ。僕の卒業前に結婚なんて。僕がデビューしちゃったらあっという間に追いつくから逃げたんだろ!」
だから半ば勢いで口走った言葉に僕は自分の顔が歪むのがわかった。
昔はそう本気で思っていたことだったけれど、指揮の勉強を始めてからそれがどんなに困難なことか思い知った。
ましてチアキは指揮科にいた事は無いという。独学で学び、シュトレーゼマンに認められて唯一の弟子となり、そして初めてのコンクールで優勝した。
それがそんなにすごいことか、僕にももうわかっている。
ヤスとフランクが苦笑するのがわかった。ターニャは眉根を寄せたけれどいつもみたいに何も言わなかった。みんなの大人の対応に僕は拗ねた気持ちになる。
諦めきれるはずなんてなかった。
のだめは僕の初恋で、音楽以外でどうしても手に入れたいと思ったもので。
 
「・・・・僕の方が絶対のだめを好きなのに」
だから、ポロッと口から零れたのは本音だった。
ずっとのだめだけを見てきた。
たまにのだめを放っていくチアキなんかより、のだめを泣かせるチアキなんかより、僕の方がずっとずっとのだめを好きな筈なのに。
それだけは僕の中でずっと譲れないことなのに。
 
「・・・はぁ?何馬鹿な事言ってんの?」
そんな僕にコーヒーを飲んでいたターニャが呆れたように言った。
ヤスとフランクはやっぱり苦笑していて、それはターニャにも向けられたもののようだった。
 
「馬鹿って何さ!」
そこを否定されることだけは許せなくて僕はターニャに詰め寄った。
数年前までは僕より大きかったターニャも今ではとっくに小さくなってしまっている。僕は成長したのだ。
「まぁね、失恋決定なリュカ少年に?今日は何も言うまいと思ってたんだけどね?」
けれどもターニャは数年前と同じように僕を子供扱いする。
それを幾度となくやめて欲しいと訴えていたけれど聞く耳を持たない。
「あのね。あのふたりの出会いなんてのだめから一方的に聞いただけで今ここで話す気もないけどね、」
じゃあ言わなければいいのにというフランクの呟きを黙殺してターニャはまくし立てた。
ヤスも何も言わないと決めているかのように黙ってコーヒーを啜っている。
「のだめはチアキを大好きだし、チアキものだめをとっても愛してるってことは見てて分かるでしょうが」
「だって・・・!」
「あのふたりがどれだけ音楽で繋がってるかわかってるでしょ。・・・でもそれだけじゃない」
反論を許さないターニャの勢いに僅かたじろいで少し肩が引けたのが自分で分かった。
静かなその目はとても怒っているようにも見える。
「リュカに説明しても分からないと思うけどね。少なくともあんたよりはチアキのほうが絶対のだめを大事に想ってるわよ」
断言されて、それを否定したかったけれど否定出来るだけの材料も言葉も無かった。
少し前ピアノコンチェルトで共演したふたり。僕らも見に行ってそれに圧倒された。それは事実だ。
だけど練習ではのだめのピアノを違う、と怒るチアキ。
あんなに素晴らしいピアノなのに。僕だったらそんなことしない。のだめの弾きたいように弾かせられるのに。
そう思って、だけど僕ではあんな音楽は創り出せないとどこかでわかっている。
 
「だって・・・」
だけど口から出るのはもう条件反射とも言える否定の言葉。
だって認めてしまったら、僕はもう永遠にのだめを失う。この想いはとても大切で、僕の音楽を導いてくれたもので。
「・・・でも直接教えてくれたっていいじゃないか」
結局拗ねていただけなんだと、その言葉で全て暴露するようなものだったけれど。不意に口から零れた言葉はもう取り戻しようもない。
 
「じゃあ聞くけど、リュカは直接のだめから聞いてたらちゃんと祝福してあげた?」
その言葉にぐっと詰まる。
多分、さっき言ったようなことをぽろっと言ってしまう気がする。
そう思って口を開けずにいるとターニャが呆れたというふうにため息をついた。
「だからリュカは子供だって言うのよ」
その言葉に頬が熱くなるのを感じた。
出会った頃ならともかく、今ではもう僕も子供と言われるほどの歳では無い。
年下で頼りなく思われているのかもしれないけれどもう一人前だと言われる年齢だ。
もう大人の振る舞いだって身についてきているというのに。
「おい!前から言ってるだろ、いい加減子供扱いは・・・」
「好きな相手の幸せ一つ祝えないで何が大人よ」
言いかけた言葉は思いの外静かな声で遮られた。
それは胸に深々と刺さった棘だった。
 
「大人だって言うんなら好きな相手の幸せくらい祈ってやりなさいよ。もともと横恋慕なんだから」
「・・・うるさい横恋慕言うな」
そんなのわかってる。
わかってたさ。ずっと前から。
のだめはチアキ以外を決して見ない。
わかっていることを思い知らせようとするターニャとそれから自分への悔しさが湧いてくるのが止められない。
そんなところもまだ僕は子供なんだと思い知らされているようで。
 
「じゃあその辺で終わりにしよう。リュカが燃え尽きちゃうよ」
す、と伸びたヤスの手がターニャの手を撫でた。
その目は優しく恋人を見つめ、ターニャもふっと笑ってそれに応える。
恋人同士の触れ合いのそれで、そういえばチアキもよくのだめの手や髪なんかを今みたいに撫でることがあった。
その時はのだめに触るな、と思うばかりだったけれど今思い返すとそれは確かにとても優しいやり取りだったのだ。
のだめのピアノを怒る時とは、音楽家同士の時とは全然違うそのやり取りはでもコンチェルトの最中僕はずっと感じていた空気だった。
 
「ああもう・・・」
思わずテーブルに突っ伏すとフランクの手がよしよしと頭を撫でてくれる。
のだめもよくこうやって撫でてくれたけれど女の人にしては大きなけれど柔らかく暖かな手とは違う。暖かいけれど男の人の硬くて大きなピアノを弾く人の手。
「リュカは本当に一生懸命のだめを好きだったね」
優しい声に目頭が熱くなった。
けど泣くもんか。
 
泣くもんか泣くもんか。
歯を食いしばった。
 
 
僕は、のだめに笑っておめでとうを言う。
 
 
 
 
 
 
END
 
 
 
 
 
うーん・・・なんか納得行かないけどうp。
果たしてそれが何年後かとか、そういうことは度外視してます。
単に、『ターニャに子供と一刀両断されるリュカ』を書きたかっただけ。
ホントわたしの書くリュカは可哀想だわ。
そしてターニャはリュカに厳しい(笑)

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茉奈
性別:
非公開
趣味:
読書・映画・音楽・お酒・料理
自己紹介:
ここはの/だ/め/カ/ン/タ/ー/ビ/レ、二次創作サイトです。
ちあのだメイン。
原作、出版社等など無関係です。

傾向と対策:のだめを偏愛・のだめ溺愛の千秋先輩を偏愛。

ブログタイトルの由来:茉奈の実家はオアシス大川から車で三十分なのだ。
あの道を、私は知っている。


http://elehayym.cc/30minbana.gif
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